冬至用 恋するマロン
先月、春の南瓜が終わったと思ったら、もう冬の南瓜が芽を出している。
少し徒長しているように見えたが、どうなのだろう。
きっとセル苗なんだろう。
少し定植が遅れたのかな。
でも、これ以上小さければ作業も困難だろうし、
セルの升が小さいから競合するのかも知れないね。
土は、すごく出来ているようで、そういえば田畑さんの、えっ田畑さんなんだ、
まるで農業の申し子みたいな名字だ。
いつもひら仮名で書いていたので気づかなかった。
そうそう苗字ではなくて土の話しだった。
もともと、有名なサラ玉ちゃんを作った男で、僕と同い年。
カネコ種苗というところがあって、そこの玉ねぎの種を沢山使うので、
「 僕の銅像を作ってよ 」 と 言うと「 まだ生きてる人の銅像もおかしいので 」 と、
ひまわりの種をいっぱい送って来たそうだ。
それを緑肥に使うんだと言ってた。
確かに物理性に富んだいい畑のように見えた。
野菜は土から出来るので、土が健全でなければ健全な野菜は当然育たない。
台風の後で、久しぶりに涼しい一日を過ごした。
きっとクーラーがガンガンだろうと、念のためにブルゾンを持って行っていたが正解だった。
冷気だけではなく、畑に降る雨も防いでくれたが、土も久しぶりの雨に嬉しそうだった。
新しいピーマン農家
ナスの花は、千だったか、万だったか、ひとつの間違いも無く実を結ぶと聞くが、
ピーマンも仇花が少なそうな気もする。
『 さらら 』 という夏から秋にかけての品種だが、花びらの枚数が多い。
この花びらの数と、実のガク付近の突起の数とはある程度リンクしているのだろう。
蜂に代表される虫に受粉の手伝いをさせる戦略で子孫を残すために、花を綺麗に咲かせる術は、
ある意味、生き物は虚飾が必要だと教えているのかも知れない。
それを Fake といえば Fake だが。
この夫妻、今年から一年中ピーマンの栽培にトライするそうだ。
畑は、一段目に実を結び、今からがスタートとなる。
色々、話しをしたが、中学2年生の息子が早くも家業を継ぐと言っているらしい。
冬と春の作型は既に終盤らしく、この作型のハウスはその息子が収穫をして市場だったかJAに出荷をすれば、
すべて息子の駄賃にするといい、息子はせっせと収穫に励み、その駄賃は貯金にするとか。
その息子が甲子園に出てくれれば、関西にこられると言っていた。
硬式の野球をしているらしく、倉庫に置いていたバットを持つと、ズシッとしたいいバットだった。
こんな心がヘッド近くある、重量の効いたバットを中2の子が振り抜けるのだろうかと思った。
売り先に苦労をしているのか、継ぐなら販売会社にでも一旦務めて、その仕組みを学んでほしいと、
そう思うのが、親心だと言われれば納得もする。
その際には、是非我が社に来てくれれば、農業を事業として捉える戦略くらいは話しが出来る。
自身も、センターを守る野球選手だったらしい。
私が草野球で習得したピッチャーのモーションを盗む技を伝授してくれば良かった。
とまと栽培
何気にツーショットを撮ってほしくて、お願いした。
前日に600km ほども走った車の助手席にいたので、私も疲れた顔をしている。
めずらしく、6時間ほどぐっすり眠ったので、身体はそれほどでもなかった。
昨年から、出荷してくれるようになった甘い水農園の宮下正大さんの畑に行った。
この畑が、気になって、気になって仕方がない。
実は、この畑が今まで『 ほんとかしら 』 と島倉千代子の歌みたいに思って来た、
トマト栽培の半ば常識になっていることに、『 やっぱりちがう 』 と答えを出し始めていること。
これは、通路に湧いた来た菌の姿。
このハウスの棟は、見た目では気が付かなかったが、入り口付近が奥から徐々に低くなっている勾配にあるらしい。
入り口付近で、『 苔が生えてきてしまった 』 と不安に思っているようなことを彼が言うので、
それは、苔ではないよ、クロレラ菌のような微生物だよと安心させてやりたかった。
それで、乾燥してくると、白い菌に替わって、更に乾燥すると所謂赤菌に替わるのよと言った。
そうすると、通路を奥へ導き、この辺が白くなっていて、ここまでくると赤くなっていると案内してくれた。
これから、もっと、もっと、微生物が増えてくるので、さらにこの事に拍車が掛かって来て、
ただでさえ美味いトマトが、もっと旨いトマトになる。
味の濃いトマトを作るという事は、水を切るなり塩水を撒くなりして、とにかくストレスを与えて、
トマトに頑張らせる手法が一般的な考え方だが、
でも、そんなトマトハウスにいると、こっちまでトマトの感じているストレスを受けて、
病んでしまいそうになる。
そんなストレスを溜めているトマトを食べて、美味しかろうはずがない。
事実、そんなに食べたいと思わなくなる。
ただ、成分的には非常に高くなるので、パスタソースを作るなど熱を加えて気を入れると、味の濃いソースにはなる。
でも、そうじゃなくて、樹自体を元気に育てて、元気なトマトを作ると糖度も高くカロテノイドの高水準になる、
という、当たり前の事を彼の畑は立証してくれるようなわくわく感がある。
今まで、フルーツトマトのような栽培をしてみたものの、そうではなくてやっぱり収量を追いかけるトマトの栽培に、
切り替える農家は、沢山出会って来た。
出会ってきたが、やっぱりその方たちは並みのトマトに留まってしまう。
そのことは、それでよく理解できるが、宮下さんのトマトに出会うと、今まで畑は少し違うという事が分かって来る。
きっと、その人たちは、フルーツトマトを上手く栽培できなかったのではないかと思う。
ストレスを与えて栽培するという事は、ただ単にストレスを与えれば良いという事ではなく、
それなりに、見極めながらトマトの健全さを求めてエネルギーを与える必要も同時にこなさなければ事業は成立しない。
ここで、それを達成できなくて栽培方法をUターンさせた人たちなのではないかと思い始めてしまう。
もちろん、程度の問題ではあるが・・・
これは昨年作の結果である。
なかなかにシュールな結果を物語っている。
ことしは、もう一ヶ所の土井さんの Organic Tomato も並べて測定してみよう。
特栽のにんじん
あと、10日程度で収穫を迎えるかな。
もちろん、今からの人参だから冬を越す人参ほど、ずんぐりにはならないし、
これも品種特性かな。
喜んでしまって、土を撮るのを忘れてしまった。
畑の向こうは、こんな海。
コンクリートで護岸されているが、きっとここは砂浜だったんだろう。
山砂のミネラルか、海砂のミネラルか、どっちを選ぶかと言われれば山を選ぶだろうけど、
海は、風が運ぶ生命を生んだ海のチカラも魅力的。
そういう意味では、少しせせこましいが小豆島の私の畑は、海と山の両方がある。
そしたら自分で人参を作れよと思うが、それは諦めた。
ひとには、それぞれの分というものがありそう。
どうやら、私には、農より商が分みたい。
それでいい。
春のキタアカリ
6月の半ばになれば、このキタアカリが出荷されてくる。
この葉を見ていると、とんでもないキタアカリに育ちそうだ。
見たところ、まだ土は出来ていない気がしたので、目下ワカメの力で引っ張っている状態なのかも。
そう考えれば、未だびっくりするようなじゃが芋にはならないか。
じゃが芋のでんぷん質は、光合成によって出来るので、
これだけの葉脈が出来ていれば、それなりには期待できる。
葉を触ってみたが、それほどの厚みは無いが、未だ成長期なのでもう少し甘めに見ておこう。
今は、自分のエリアを越えて移動するには、一段と高い警戒心が必要になる。
もし自分がキャリアになっていればと考えると、
もし、そこにある危機をもらって帰るとと、考えられるケースはいっぱいある。
今日は、北海道から決死の覚悟で名古屋まで出てくる親子がいる。
互いに、どうしても、会わなければならない間柄で、今まで状況を見ていたが、
変りそうにないので、ひとが移動する前のこの時期に、ひと足先に会うようになった。
互いに、無事帰れることを祈っている。
根粒菌
先日、指宿の農家に行ったときに見せてもらった写真。
小学校の時に教室で習ったことで覚えていることは数少ないが、根粒菌っていうのは覚えている。
何故、覚えているのかは知らないが、面白いと思ったのだろうな。
でも、単に印象が深くて覚えていることもあって、それが張作霖と息子が張学良という二人の名前。
最近になって、この二人の名前が出てくる小説を読み耽ることになるとは思わなかった。
同じ気分で、根粒菌にまた出会った。
少し前、自然農法とでもいうのだろうか、窒素をまったく入れないで栽培する田んぼや畑に熊本で出会った。
どうして、育つのか不思議だったが、その時に頭の中に出てきたのが、この根粒菌だった。
根粒菌が空気中の窒素を土の中に取り込むという教えを覚えていた。
根粒っていう限りは根の形なのだろうと思う。
ここに土の中の微生物が棲みついて、この微生物の働きでどこをどう通って空気中の窒素成分が蓄えられるのか。
つい最近も通ったが、水俣のチッソという会社が肥料のチッソを化学的に作っていて、水銀を海に垂れ流したらしいが、
まったく、その仕組みは分からない。
分からないが、根粒菌と微生物はそれをするらしい。
進化というのは、必要は発明の母とは別で、必然と偶然の調和で生み出されるのかもしれない。
会社で硝酸態窒素が作物に残留している量を測定するのに中澤が、
『 窒素は単独で存在できないので、NO₃ という形から計算して出す 』 と確か言ってた。
NO₃の量を測定して、そのなかの N の構成比で掛けるのだろうが、この記憶すら曖昧だ。
まったく、ウイルスをわざわざ人間が作り出す動機もどこから来るのか、不思議だが、
空気感染ならもっと爆発的に広がっているような気がするので、ほとんどが接触感染ではないかな。
南瓜がウイルスに感染したら、その株を除去するときのハサミや手袋も捨てたり洗ったりと言う。
それなら、マスクより使い捨て手袋をした方が予防になるのかもしれないとも思う。
そんなことより、この落花生を今年は扱えるかもしれない。
指宿
そら豆は25度も糖度があると言っていたが、当社で測定したらそんなことはなかった。
でも、充分に甘みがあり、この畑の近隣はそら豆の畑だらけだが、この人の畑だけは様子が全く違っていた。
先ず輝きが違う。
美味しい野菜=栄養がいっぱいだが、それは生命力の輝きで分かる。
だから、畑や野菜を見る場合は、その全体の雰囲気を見ることが大切。
実えんどうは関西では、うすいエンドウと呼ぶことが多いが、
このひとのから出荷されてくる実えんどうは18.9も糖度があった。
キャベツ、白菜、レタスなど、土地利用型の作物を多く栽培している農家だが、
私の思い通り、大きいことは良いことだとばかり、こんなキャベツを作っていた。
これは、白菜。
面白い男だ。
いまの青果流通の常識化している概念を、打ち破る相手としては打って付けの人間が登場した。