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2008.06.30 Monday

来世



尾長の雄がもてるらしいツバメ

私の会社は尾崎ビルというビルに移転した。
オーナーは普通に尾崎さん。
1Fは2軒入っていて散髪屋さんと歯医者さん。
散髪屋さんは『いきつけの理容院』、歯医者さんの名前は小熊がキャラクターの○○。
この散髪屋さんは私のいきつけ、17年程は通っているだろうか。
何となく、座るだけで適当に髪の毛を刈ってくれる。
まさか、この散髪屋さんの2Fに私の会社が引っ越してこようとは。
今年の1月に同じビルのテナントになった。

このビル、尾崎さんが昨秋、ビルの外壁をメンテナンスして、
ツバメの巣を全て掃除したらしい。
今年は御主人が高血圧で倒れ、奥さんも入院した。
お二人とも幸い軽くすみ、今は元気にしておられる。
御主人が『去年ツバメの巣を掃除したからなあ‥』と、
最近では殆んど聞かなくなってしまった台詞を聞いた。

でもこの5月、歯医者さんのテントの裏に、しっかり御覧のような巣を作った。

会社の従業員(私の息子でもある)が、毎日携帯電話で写真を撮っていたらしい。
その中の1枚を貰った。
どうしてこんなに大きさが揃って成長するのか分からない。
一度、親ツバメが帰ってきた。
いっせいに口を開ける5匹の子ツバメ。
親ツバメは飛んでくるやいなや一番右端の口に餌を口移して、
電光石火、ツバメ返しの如く飛び去っていった。
人間のように悠長な子育てでは無さそうだ。
もちろん名前など考えている暇も無いだろう。
私が12、13歳の頃飼っていた伝書鳩は、
もう少し人間らしく子育てをしていた。
私のように、渡り鳥はゆっくりしている暇もないのだろうか。

どう見ても勢いで餌をやっているようにしか見えないのに、
子ツバメは大きさが揃っているから不思議だ。
瞬間、餌は何か3cmくらいの虫だったように見えた。
近所の女子高生も自転車で『可愛いねぇー』と言い合い登校していく。

随分前になるが、『浮気人類進化論』て本を読んだことがある。
著者は動物行動学を学んだ女性(学者)らしい。
何でも尾の長いツバメの雄が、高確率で交尾の機会を得るというのだ。
確か西洋の学者がそういう実験をしたらしい。
雄ツバメを3グループに分け、ひとグループは挟みでツバメの尾を切るのだ。
そして切った尾をもうひとグループの尾に接着する。
かくして長・短・普通とグループが出来る。

それで、つがいになり子育てをしていく過程を観察する。
細かい数字は忘れたが尾の長い雄からつがいになっていく。
短い雄は、最後の最後になってつがいになる。
悲劇はここからである。
やっとつがいになったと思って外に巣の材料や餌を探しに行く。
そうすると、雌は尾の長い雄とちゃっかり交尾をしてしまう。
雄は出来るだけ数打ちゃ当るで数をこなし、
雌は優秀な子を残したがる。
これが進化論という訳だが、ほほえましい短絡さである。

では、何故長い尾の雄が優秀かというと、巣はクリーンでなければならないから。
つまりツバメは尾で巣の掃除をしているらしい。
この西洋の実験チームは巣立った後、巣の害虫調査をしている。
そうして、尾の長さと害虫の寄生数を調べて、前述の結論に持っていくのである。
当たり前と言えば当たり前だが、念の入ったことである。

私は、来世をこういう何の役にも立たない研究をして、人生を過ごしたいと思った。
『マルクスとケインズに同じスポンサーが付いていた』と知った時はショックだったが、
何の役にも立たない代わりに、何の毒にもならない学問は、
ひょっとすると、純粋に人間が幸せになる機会に、めぐり合うこともありそうだ。
もし、神という存在があるならば、こういったあらゆる隙間に存在するのではないだろうか。

2008.06.29 Sunday

特別栽培 九条葱



水槽に浸けて掃除

九条葱の農家。
今年の初めから新しく取り扱っている、当社髄一のお気に入り。
農家っても九条葱の生産・販売で、年商○億円あるとか。

『生産・流通(卸)・小売と分業しているのは、日本くらいのもの』と聞いたことがある。
イタリアなど、どんなに小さくても自らデザインし、縫製し、表の店で販売するスタイルらしい。
だからこそ、ブランドと言えるのだろう。

初めてこの事を聞いた時は少なからずショックを受けた。
この九条葱は、ザック、ザクと切って、オリーブオイルで豚肉と炒め、
唐辛子あたりで味を調えると、シンプルで美味い。
肉気が駄目な人は、豚肉の代わりに厚揚げでも良い。
その場合は多少味付けを濃く、醤油と発酵料理酒を使ってトロッとさせるといい。
microsftに「くじょうねぎ」と入力すると、『苦情葱』と変換される。
機械も人を笑わせる力がある事を知った。

水槽で洗浄作業してくれているのは、嶋岡辰始副工場長。
葱の輝きを見てほしい。

冬でもこの水を使っているのだろうか。
水は細くではあるが、出しっぱなしである。
見たのが6月26日というこの季節で良かった。
冬ならお気楽に『写真を撮らせてください』なんて、
とても言えず、すごすご帰ってきただろう。
農家は口々に『吉田さんのような立場の人も必要だから』と言ってくれるが、
とてもとても‥。


機械が口を開けている

口を開けている機械の中に数本づつ根の部分から入れる。
以前、純と蛍で有名な富良野の【軟白ねぎ】農家で、この作業は見たことがある。
写真はガラス戸越に写させてもらった。
葱の、土と外側に付いている薄皮を剥く工程だ。
これまた別な北海道の葱産地で、
JAの名前は忘れてしまったが野球が出来そうな建物で、
全面この作業をしていたところに行った。
眼が痛くて5分と居られなかった。
季節にも因るのか葱にも因るのか、あそこでは慣れもあると聞いたが。
まこと、現場というものはこういう事である。
数ある葱の中から選んでいただき、お金と交換できる事はありがたい事だが、
互いに、ありがたいという気持ちも交換したい。


畑から搬入

さて、画像をよく見てほしい。
左と右の違いに気付いただろうか。
これは私の勝手な想像だが、
左は葱が折れないように衝立をコンテナに施している。
右は葱坊主が出来ている。
きっと、左が我社等が販売させてもらう、ひと束何ぼの葱で、
右はカット葱等、業務筋に流れる葱ではなかろうか。

収穫適期、食べ頃とは何だろうかといつも思う。
トマト、赤くなればカラスより少し早くもがないと。
きゅうり、これはカラスが絶対に喰いに来ない。
今、小豆島で食べ頃のびわもカラスと競争。
まこと、カラスはよく知っている。
カラスは食べ頃でだけではない、美味い樹とそうでもない樹を、
きちっと区別している。
ということは、きゅうりは食べ頃でない時期に人間は食べている。
事実採り忘れて、でかくなったきゅうりを、静岡の桜海老とあんかけすれば、
ほっぺたは落ちるし、顔は締まりなくなる。

長丁場になるがもう一節。
葱では葱坊主が出来る直前が一番美味いのだろう。
その頃には葱の肌が少し荒れる、そう、販売に堪えられないくらい。
スナップエンドウも、豆がゴツゴツするくらいの大きさを食べれば、
甘味をしっかり感じられる。
ところが八百屋稼業では、これを過熟と呼ぶ。
いずれも次の世代を生む直前が、一番充実していることになる。
我々は子供が子供を生む頃になって、ようやく味が少し出てくる。
しかし、喰えねぇ爺とか、ひとを喰った爺ってことになる。


定植後ひと月

ここで本気になって九条葱栽培の説明をしよう。
秋冬収穫の作型の、本来の栽培は、
前年11月くらいに播種。
3月に定植。
この間はタマネギでもそうだったが、殆んど成長は表に現われない。

7月頃収穫。
収穫と言っても食べる訳ではない。
30日から15日間、タマネギを吊るして干すように、
この葱を吊るして干しておく。
現代は、これまたタマネギと同様冷蔵庫に入れる。

8月〜9月にもう一度畑に戻す。
こうすることで、強い葱の苗が出来る。
この苗を植えて収穫すると冬の収穫時期に、
【餡葱(あんねぎ)】といわれる葱の内部に、
白いとろっとした餡が出来るのである。
この餡の甘みが、実は九条葱と他の葱と一線を画するところである。

そして、11月〜1月・2月頃収穫して食べるのである。
これを九条葱という。
但し、これは冬作の話。
関西育ちは葱を煮たり炒めたりして食べる。
典型的なのがすき焼きというメニュー。
すき焼きは好みが分かれる。
肉は最初1枚2枚だけでいい。
くたくたになった、葱が絶品である。
糸蒟蒻もなかなか。
麩が好きという者は通かもしれない。

反で4トン採れたとしよう。
畑を12ヶ月〜15ヶ月ほど占領されるわけだから、
反で最低150万円は必要だろう。
葉物なら60日で25万円くらいだろうか。
最近、農業って産業は技術があれば、
やり方次第では案外収益性の高い産業と思い始めている。
ただ、こうしてじっくり育てる葱と、
葉物の様に育てている葱との評価の違いは、
まだ一般的になっていない。

それは葱という野菜が薬味という位置まで
下がってしまったことが大きな要因ではなかろうか。
九条葱と雲丹のパスタってのもなかなか美味いもんである。

2008.06.24 Tuesday

光の粒



湿度95%の畑

自信喪失の影で光の粒もひとつ見つかっている。

画像の畑は4月の20日に肥料を撒いている。
キーゼライト・マドラグアノ・サンライム・アヅミン・ゼオライト。
これ等は微量要素資材と考えている。
今回堆肥は投入していない。

京都の『杉山有用微生物研究所』の肥料2種類を試している。
ひとつはグリーンパワー21号という発酵肥料。
窒素:3.9% りん酸:6.0% カリ:1.3%
もうひとつは米菌帯微生物資材。
米菌帯肥料は興味があった。

好気性菌が良いとされた時期もあったが、
最近は何故か嫌気性菌が見直されている。
菌の世界は深くて複雑で私などには到底理解不能である。
菌と微生物を定義付けよと言われても答えられない。
ただ、有用菌と有害菌の2種類に分けられるのではなく、
その間に日和見菌っていうのが8割程度いるらしい。
日和見ってくらいだから、その時々の強い方に付くのである。
少しシニカルで、そして愉快な話でもある。

杉山さんは『餅に付く菌はいい菌だと思うよ』と話す。
餅に付く菌(カビ)なら、食べても害の無い菌として、私も子供の頃よく食べた。
すっぱい味を今も記憶している。
今にして思えばブルーチーズのようなものか。
あの頃は、あまり好きではなかったが、今ではカビのチーズを好んで食べる。

その菌を培養していて米に付けるのである。
栄養たっぷりの米が菌の餌には一番いいと結論を出された。
米のエネルギーを得て増殖・活動する。

古米・くず米を買ってきて杉山微生物研究所に預ける。
古米30kg1000円程で農家を通して米屋さんから分けてもらった。
これを600kgに菌を付けて活着(発酵)させ、
グリーンパワー21を180kg混ぜて5万2千円。
最初の米代入れれば7万2千円。
通常であれば反当り100kg〜150kg使用する程度のもの。
高いか安いかは、作物の出来次第。


定植後の水遣り
 
難点は米の形が残っていれば鳥の餌食になる。
『路地畑には向かない』と言われた。
そんな訳でマルチをしている。
畝を立て菌帯米を画像の広さに60kg撒き、
たっぷり散水してマルチを張った。
匂いを嗅ぎ付けカラスがマルチを破るのではないかと心配した。
6月1日に定植したがその間40日、果たして土がどうなっているか。
どうみても団粒構造化されている。
手の平に乗せて、ぎゅうっと掴む、開いたら団子になっている。
崩すと元の細かな粒子に戻る。

これは土作り資材として充分結果を出せたと。
トンネルを出て初ヒットを打った気分である。

2008.06.22 Sunday

自信喪失



透き通る白い肌

梅雨に元気なのは庭の蛙くらいのもの。

前住人の植木担当爺さんがあろうことか、
札所脇の手水鉢の石を、この家の庭に持ち込んでいる。
その札所は水が美味しいとそれなりに有名、
有名というけれど私は名前を失念してしまっている。
『そんな処の石を勝手に持って来たらあかんやろ』
『いやいや、この石にはみんな迷惑している。
この石が無かったら水汲みに来る人が、楽にUターン出来る』。
おいおい、そんな理由で札所の物を持ち出すのかい。

去年、その手水鉢の石に蛙が陣取ってゲコゲコ、キーキー、グゥァグゥァ鳴く。
耳障りで寝てられない。
腹が立ってくると蛙にも伝わるのか、せせら笑うように遠くの蛙と会話をし始める始末。
やっと鳴き止んだかと思った瞬間に再開する。
『あいつだけは何とかせにゃならん』と思っているうちに、
蛙はシーズンオフに入った。

ところが入梅した先日、最終の船でやってくると、
『今年も健在!』と手水鉢の石の天辺に乗っかって、
『今年もわしの季節がやってきたぜ』と挨拶がてらの雄たけびを上げていた。
私は『冗談じゃねぇ』と柄杓で石をカーンとやってやった。
顔を見てみると声に似合わず未だおぼこい顔をしている。

何処かに飛んで逃げた。
南瓜栽培恒例の、着いた時刻が何時であろうと、
懐中電灯を持っての南瓜への挨拶。
畑から戻ってくると蛙も指定席に戻っていて、
『何かあったか?』って声で鳴き出した。
『お前や!』と今度は柄杓で掬って庭に放り出した。

家に入って荷物を置いて着替えをしていると、
『僕のことが嫌いか?』と少し疑問を持って鳴き出した。
風呂の薪をくべに行く為庭に出ると、
『おっ!』と無言になった。
『嫌いや無いけどうるさいんや』と
手で払ってやった。
ようやくこの蛙とも会話が成立して、
今は遠くの方で鳴いている。

南瓜は3分の2位が先週から肥料不足の模様。
先週今週と連続して窒素主体の、即効性のある有機肥料を撒いている。
それでも出来上がった身体は急には変わらない。
化成肥料を撒くのは屈辱感がある。
でも結局撒いてやることにした。
家の上の畑の持ち主が今年から一緒に南瓜栽培を始めた。
7年間ほったらかしていた畑を、再度整備して栽培している。
去年は孤独な旅をしていたが、今年は道連れが出来た。

気分転換に二人でキス釣りをする。
ここは海辺である。
家のみかん畑の直ぐ下は浜になっている。
釣りがしたくなれば1分で釣りが始まる。
少し食べるのは気の毒なほど小さいのも混じっているが、
今年の初物だからと持って帰ってきた。


一人前には充分なボリューム

自前の新物にんにくをオリーブオイルで搾り出し、
キスには塩コショウ・片栗粉を少しふって1分ほど焼いた。



2008.06.20 Friday

Dr.BOSE



般若心経・写経

今日は午後から雨降り。
久し振りにBOB DYLANのDESIREを聴いている。

結局違うものを買ったが、
京都伊勢丹に写経用の文鎮を買いに行った。
6Fだったかな、家庭用品か趣味のフロアーにあるような気がした。
エスカレーターでそのフロアーに着くと、何やらいい音が耳に入る。
近づくと見慣れた小さいCDラヂカセみたいな物体から、
その音は出力されていた。

BOSEのショップだった。

小豆島のこの家にはテレビもラジオも無い。
インターネットだけが頼りのスペース。
会社の幾つものパソコンに付いてくるスピーカーで我慢をしていた。
手の平サイズのスピーカーなのにやたら惹きつける音を出している。
眼を点にしながら聴いていた。
頃合と見たのか男の子が近づいてきた。

何と29,800円なのである、この音が。
いくらセンスのない私にも耳に心地いい音くらいはわかる。
いや、人から私の感性をとやかく言われる筋合いは無い。
私の気に入るもの、ことが私にとっては全てである。
安いと思った。

前から気になっていたこの会社は、
スピーカーの優良メーカーだと思っていたら奥があった。
ボーズ博士が創業者だが、この博士は波動の研究者らしい。
確かに音は波動だ。
でも波動は音だけではない。
振動も波動だ。
車のサスペンションも作っているらしい。
どうもポイントは【技術】じゃないらしい。

研究の【究】とは何だろうと辞書を引いてみた。
【真理や本質をつかむため、これ以上行けないところまで推し進める】とある。
すごい意味だ。
般若心経の中にも【‥究竟涅槃‥】とある。
ウ冠の意味は分からないが、十中八九との言葉がある。
後、十が残っている分だけ気楽でいい。

私は一体何枚くらい般若心経を写経しただろうか。
千願成就というが1000枚が一区切りなのだろうか。
写経を始めて25年になる。
なかなか気分がいい。
25年の途中で、
文字を写していると意味がダイレクトに入ってくる時期があった。
でも、意味は技術に該当する部分だろう。
大事は波動を私の身体から半紙に墨を通して移す行為かもしれない。


2008.06.19 Thursday

憧れの南瓜生産者−2


私の現在進行形の南瓜畑
私の現在進行形の南瓜畑

前号は3月に訪問した時のこと。
今号はその後の南瓜の進展を見せてもらうのに5月1日に伺った。
この日は朝から雨模様で残念ながら畑に行く事が叶わなかった。

翌朝5時に起床。
1時間ほど車で走り彼の家に着いたのが7時だった。
外で待っていてくれ、すぐに畑に向かった。

南瓜の成長途中の度合いを測るには、
葉がひっくり返らないように何かにしがみつく為、更に蔓から左右に細い蔓を出す、
これを食べて味を見る。
これが結構味があって分かるらしい。
私は味は分かるが、だからといってどうすれば良いかが分からないから情け無くなる。

さて、「今から師匠の畑に行こう」と言ってくれて、
前回画像の師匠の畑に向かった。
遠めに見て私は品種が違うと思った。
南瓜の葉が低く地を這うように育っている。
葉面散布作業の手を止めて話をしてくれた。

聞くと同じ品種であることが分かった。
何故こんなにも葉の低い背丈、葉と葉の間の蔓が短いのか。

理屈はこうらしい。
南瓜を食べるのであって葉を食べるのではない。
実に栄養がいくためには、葉と節間を低く短く育てる。
葉を質実剛健に育てて実に贅を送る。

つまり葉は、
地中の肥料と太陽の光とによって光合成をし、得た栄養を蓄え、
自らその栄養を浪費することなく、子である実に託す。
そうすると斯様な南瓜が育つらしい。
そこで、多く光合成する事と浪費させない事が重要となってくる。

多く光合成させることは日照の少ない日が続くと、
光合成の結果できる糖分を葉面散布することで賄う。
蓄えた養分の浪費を防ぐには、
先に書いた大潮に向かう時期の水分に留意する。
この2点だけではないだろうが、
とりあえず私が思い至れる範囲である。

確か殺菌剤を撒くのも大潮の新月が一番効くと聞いたと思う。
HOW TO として聞くとすぐ忘れる。
生理の理屈として聞くと忘れても案外後から考えて思い出せるのだが。
陰性な菌の一番活躍する大潮のピークに撒けば、
それ以降は沈静化するということだろうか。

2008.06.16 Monday

憧れの南瓜生産者



喰えないのに喰い入る様に毎日眺めている

五十の手習いとからかわれているが、
昨年から南瓜の栽培を真剣に始めている。
何故始めたかは、少し時間をかけて説明する。
昨年は8月15日播種、8月31日定植、11月26日収穫。
今は7月末収穫を目指して栽培中である。
小豆島農場では7月採りと11月採りの年2回の南瓜栽培をする。
7月採りは九州地域が終了し、北海道まで案外穴が開く。
冬至は北海道が終わり沖縄まで穴が開く。

画像は宮崎県の農家、黒木道也さんの栽培画像である。
今は収穫を終え実物を試食した。
品種は【栗マロン】。

今年3月に同農家グループの廣田敏光さんの、
定植間もない時期に畑を訪問した。
定植間もない時期であるにもかかわらず、
雌花が沢山付いているので私は不思議になった。
何とか知らない事を教えてもらおうと必死で質問した。
随分植物の生理、南瓜の生理について話してもらった。

株元から離れたところに白い肥料をひと摘み分づつ置いてある。
白い正体は尿素(窒素肥料)らしいが、
株元から離れているので不思議に思うと、
その下の土を掘ってくれた。

手でひょいひょいと掘れば白く太い根が先を出した。
その根がけな気というか逞しいというか。
そんな事より先ず手で簡単に掘れる土にびっくりした。
ちょっと海水に湿った砂浜のようでもある。
もっとも砂より粒子はもっと細かい。
こんな事で驚いていると先が思いやられるが、
土作りは3年は掛かると言われていることに納得がいく。

一番『なるほどなあ』と思ったのは、
潮の大潮・小潮で南瓜に施す作業を決めている事であった。

小潮から大潮に向かう時、地上部が伸びる。
逆に、大潮から小潮に向かう時に、根が伸びるらしい。
更に言うと、小潮から大潮に向かう時は、
毛根が無くなるほど地上部が伸びる。
つまり毛根は、地上部を延ばす為に養分を吸って地上部に供給するが、
自らの存在を賭けて、消耗するまで、この役目を果たすのだろう。
重たくなるが、命は真斯様に尊い。
逆に大潮から小潮に向かう時、根は毛根までまた発達・成長する。

このサイクルを繰り返し植物は、成長し子孫を残そうとするらしい。
従って農作業では小潮の直前に肥料を撒くとなる。
何故直前に撒くかというと、
伸びた毛根(養分は毛根から吸収される)が一番旺盛な時だからでり、
肥料は水分が無いと溶けないので直前の雨を狙って撒くのである。

訪問した日は小潮直前の天気予報で雨だった。
朝から雨模様だったが私たちが行くのを待ってくれてたかのように、
畑を離れたら間もなく雨が降り始めた。
話の一部始終、なるほどなあ〜と思わされた一瞬である。

‥続く

2008.06.14 Saturday

今日は私の記念すべきハレの日



やはり携帯電話で料理を撮るには工夫が要りそう

一昨日、千里中央の大丸ピーコックさんに行った。
沖縄産栗ゆたか南瓜1/4 358円 
賀茂なす?g 550円 
静岡産ネットメロン1.8kg 1,580円
完熟王バナナ700g 298円

買った理由はそれぞれある。
栗ゆたか南瓜は私の会社が卸させていただいた製品。

今日は【賀茂なす】がメイン。
今日は実は私が栽培した農作物が初めてお金になった日。
今まで、ベビーリーフ、冬至南瓜と某かの売上には換わった。
しかし前回のブログにあるように、それなりの面積で栽培し、
出荷作業をして自ら配達もした作物は、
今日のタマネギが初日である。
買っておいたトラックに積んでフェリーに乗って草壁港から高松へ。
私の会社は精肉類を自然食品店さんに卸す事から始まっている。
青果を扱い始めたのは数年後のことである。
未だ、阪和道が全線開通していない頃のことである。
有田の農家までタマネギを1トン仕入に走った。
当時は1トン、タマネギを仕入れれば、
完売するのに何ヶ月掛かるだろうかって時期である。
でも、私はタマネギ1トンの重みにこだわった。
積み込みをしている時、仕入先の伊藤農園さんのご主人に、
「餅は餅屋に任さないと会社は大きく出来ない‥」と言ってもらった。
返事は「そうですね」と応えたが、
最初で最後にこれから始める青果業に、
1トンの重みを自分の肌で感じておきたかった。
確かに地道で和歌山から帰る、山の坂道は車が上らなかった。

それを記念する食事のメインが賀茂なすの田楽。
【京野菜】の最高峰は賀茂なすだろうか。
伏見の戸田さんのおじいさんが栽培していた【京人参】は絶品だった。
今日の賀茂なすも幸せ気分が入っているかもしれないが美味であった。

2008.06.12 Thursday

農薬・化学肥料も使わないで‥



販売用pop

4m×10mの苗床に早生晩生4万粒を播種した。


もみじ3号ー自分の手の老けように驚く

少し多かったか。
目標は収量よりも、糖度が高く、締まったタマネギ栽培である。
移植後、水遣りに苦労をしたが、それ以上に虫が苗を食う。


移植後五日目畑が絨毯の様に見える

水遣りも難しく移植溝を切った土が崩れて苗を埋めてしまう。
11月の移植から年を越えるあたりでは、半分ほどの苗が消えていた。
虫対策もさる事ながら基本的なところで後から分かる事が多い。
年を越え、1月=魚粉肥料と2月=発酵肥料を追肥している。
後は草刈・草抜きの連続。


4月5日時点の育ちーこれでも最終草茫茫

隣近所の畑を見ては「大きくなれ」と声を掛けていた。
ところが5月の連休明けくらいだったろうか。
「それ以上大きくなるな」と声を掛けなおす。
どっちの言う事も聞いていないように思える。
丼鉢くらいの1個で1kgも在るのではないかと、
南瓜じゃないんだからと思うような玉もある。


入梅前に急ぎの収穫

そもそも私が小豆島でタマネギを栽培しようと思った経緯は、
1反半の畑を借りられたのが昨年の9月末。
今から何を栽培しようかと考え、
隣の淡路島でも美味しいタマネギが出来るし、
昨年のこの地に来た時、家庭菜園で栽培されていたタマネギが、
甘くて味にも深みが在った事からである。
また、同時期に読んだ雑誌の【塩のミネラル利用特集】に、
海水を利用して糖度の高いタマネギを栽培されている方が紹介されていた。
この方は東京の『千疋屋』さんで1玉200円で販売されているとも。

10月の契約完了時から急遽牛糞堆肥を2トン入れ、
微量要素のバランスを私なりに整えて、
10種類の肥料を基肥にした。
お陰で収量はともかくも硬く締まった、
まろやかな甘味の玉に仕上がったと自負している。
化学合成農薬も化学農薬も使用せず、天候にも恵まれたせいだろう、
私には過ぎるほどの結果だった。

前述の記事の方曰く、
「4月半ばから海水を50倍に希釈して散布‥」が良いそうだ。
悔やまれることはこの事が実行できなかった。
小さい小さいと、肥料が効いてくるかも分からず、
その上海水を撒く勇気を持てなかった。
今秋には再度栽培し海水散布にも挑戦したい。

来週には香川県下のスーパーマーケットさんで販売をお願いする。
価格は相場並みかな。

2008.06.09 Monday

ロケーション



末吉さん畑

長崎に行った。
ここは島原半島。
乱のあった原城の近く。
天領となったこの地域は、幕府が小豆島から殖民した。
その時の土産が素麺であるらしい。
故に小豆島の素麺と島原の素麺は同根らしい。
この地域は、山の上の方まで実によく開墾されている。
そしてその畑の殆どが現役で野菜の栽培がなされている。
レタス、ジャガイモ、南瓜、タマネギ。
普賢岳の南側は赤土で良質の野菜が育つ。
判断ミスと噂されている諫早湾干拓もこの地域。
聞けば干い上がって出来た畑は1反年間3万円の賃借料。
100年借りていれば我が畑となるらしい。
3万円も高いと思うがそれ以上に100年前の事を誰が守ってくれるのか。
100年以上戦も無く平穏な社会は、
誰か超人的な強さで圧制を敷く以外ないのではないか。

漁業が成り立たなくなった方々は、土木業として畑にし、
畑が出来れば農業をされるらしい。
こういう干拓事業なりを決めていく役人の、
自分以外の人の職業に対する見方が見えてくる。
社会の基本は工業であれ、農業であれ、生産に従事する職業である。
写真の農家は自分の仕事に役人が口出ししてくれば、きっと怒るだろうなあ。
作る作物は超一級品ではないが一級品である。
超一級品を作る腕は持っているだろうけど、
むしろ事業の貸借を整える天才ではないかと思っている。
それはこの方の畑のロケーションを見ていれば感じる。
数箇所の畑を借りて耕作されているが、何処の畑も抜群のパノラマである。


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