2010.04.30 Friday
玉葱 極早生収穫
ようやく、収穫を迎えた。
ちょっと小振りの玉が多い。
味は、ぽっぺたが落ちるほど‥。
ウソちがう、ホンマやで!!
先週は1/4〜1/5 を収穫した。
『二人でやるって、どうなるの』と不安そうに言われていたが、
保さんの畑に、アルコール資材を散布しに行って、
藤本さんの畑に戻ってみると、
朝の家事を終えて、
もう、引き抜いていた。
しばし、呆然として、写真を撮った。
画像のように、両手でバンバン抜いている。
竹生の畑は、元々、田んぼだから、
去年は、簡単には抜けなかった事を、覚えていたのだろう。
ここは、岡本安司さんの畑で、カコウ土だから、
『だから、二人でも、午前中に終わる言うたやろう』。
道路まで出すのに、運搬車が欲しいが、
一輪車で、今年も我慢やな。
こっちは、末吉さん親子の、デジマの試し掘り。
胸ポケットから、携帯ストラップが眩しい。
還暦だからと、孫から貰ったのかな。
掘っても、ほとんど芋が出てこないので、
何やってる、画像か分らない。
それでも、
鶏の卵、くらいには成っていた。
もちろん、そんな事は二人は分っていたのだろうが、
せっかく、大阪から行ったのだし、
目の前で掘れば、
彼らも納得するだろうと、
優しい親子だ。
未だ、可哀想なほど小さいジャガイモを、
持って帰って、末吉さんが洗って、
鍋に水を入れ、
カセットコンロを軽トラの荷台に置いて、
湯がいてくれた。
食べたけど、
明らかに美味い!
昨年の秋作に比べれば、
確かに若いけど、充分味の方向性が出ている。
昼飯を食っている時に、ジャガイモは、
秋か春か、どっちがどう と、
議論をしていた。
私は、『当然、春だろう』 と、
末吉さんは、それぞれの良いところを言っていた。
でも、やっぱり味は、春だろうと、
未だ、意地を張っている。
きっと、このデジマは、
連休明けになれば、
秋より美味いジャガイモになる。
根拠は、ジャガイモ自体が、
どちらかというと、陰性に属するから。
陽に向かう季節に成る方が、
自然な気がする。
連休明けに、匂い立つような、
写真が撮れればいいが。
2010.04.29 Thursday
親子揃っての師匠
久し振りに島原に行ってきた。
島原は、ご存知【天草四郎時貞】で、
日本人なら、小学校の時に必ず頭の中で通る道。
この半島を訪れるようになって、
既に15年ほども経過しているが、
早い時期に、名水ニラの森好晴さんが、
普賢岳と一緒に、連れて行ってくれた。
普賢岳は、まだ落ち着いて間もなくの事で、
テレビでよく流された映像の家が、痛々しかった。
しかし、原城跡で、森好晴さんが、
『ここらの畑では、まだ人骨が出てくる』と、
そんな話の方が生々しくて、情景をよく覚えている。
その後に、当時の幕府が、
この半島に植民をしたらしい。
小豆島からも植民されて、
それで島原素麺がある話は、
有名になっている。
ところが、小豆島からだけではなく、
鹿児島からも植民のグループは居たらしい。
鹿児島の宮崎県との境近くに『末吉町』という地名がある。
末吉さんが『どうも、うちはそこからの移住らしい』と。
言われれば、この二人の体型は、
小豆島より、鹿児島がイメージしやすい。
時の権力者にとって、
自分達の地位を脅かしかねない存在は、
何としてもマッサツする習性があるらしい。
昼御飯のチャンポンを食べながらの、
こういう会話の後、畑周りをして倉庫に帰った。
傍らで、ラジオが鳴っていて、
途中のニュース速報で、
初めて聞く組織名が主人公で、
脇役の小沢一郎が、
『起訴相当の決議‥ 云々 ‥ 』と、
妙に間延びした声で、緊迫した口調で告げていた。
これだけ、執拗にやるということは、
権力構造が、このままでは国会と同じ様に、
代わる危機にあるという証かなと思う。
一旦、民主党が政権を執り、
その民主党に国民の失望を買う役をやらせて、
その後に、更に強固な統治体制を敷く、
こんな話を、五年程前に朝礼で言ってた事があった。
今では、誰も覚えていないだろうし、
食品卸会社の台詞(せりふ)でも無い。
上の画像は、そんな政治談議をしているのではない。
昨年の秋に、この二人が作ったジャガイモが、
飛び切り美味くて、『今に、この親子が日本の農業を席巻する』と、
書いたと思うが、
息子が導入してきた、その資材に付いて、
親父は如何(どう)思っているのか、
率直に聞いてみた。
『難しい事は分らないが、寒い時に酒を呑むと』
『わし等でもポカポカして、血の巡りが良くなるのは分る』
『結果を見れば、今年のジャガイモは違うと思った』
と、わりと素直な応えが返ってきた。
倉庫の奥で、見慣れぬ鍬を見た。
ジャガイモを起こすのに、
細長い三つ鍬が、
何本も壁に掛けられていて、
柄の短い物が数本あった。
きっと、起こした芋を取り出すのに、
柄が短ければ、腰を曲げたままで、
楽なのかなとか、そんな事を聞いていると、
表から『父さん』って声が聞こえて、
その父さんは『おぅーっ』って。
法人化して、規模拡大を図っているので、
少し、聞いてみた。
『どうですか』
『人件費だけで毎月〇〇要る』
『ちょっと中途半端なのかも知れんなあ』
『これだけの製品が作れるようになれば』
『あちこち、向こうから買いに来てくれるようになった』
『広く、作っても、売れる自信はついてきた』
いっぱい売れるようになっても、
私と中川の事は忘れんといてなと、
心の中で、呟いた。
こんな事を書いていて、
ふと、隣のパソコンを見ると、
冒頭の画像が、スクリーンセーバーで、
スライドショウであるはずなのに、
フリーズして止まっていた。
2010.04.28 Wednesday
畑の賃借関係
これは、男爵を植えている、保さんの畑。
先週、極早生玉葱【濱の宝】を収穫している時に、
にわか雨が落ちてきたので、保さん畑の男爵を見に回った。
そうすると、この畑で佇み、しゃがんで通路の草を抜いていてくれた。
すこし、驚いた。
私としては、この通路は、
跳ね上げ機で土寄せをしていくので、
草が少々伸びてきていても、全く気にしていなかった。
保さんは、
『貸している畑だから、私がする事無いのだが』
『家でじっとしていても、退屈なだけだから』
と、
まあ、とにかく、してもらっているのは確かな事なので、
『いやー、色々すいません』
『ありがとうございます』
と、謝罪と礼を言って、玉葱の収穫に戻った。
翌日に、朝から、アルコール資材の葉面散布に来ると、
更に、保さんの草抜きは進んでいて、
画像手前、左から2列目まで出来ていた。
ありがたいといえばありがたいし、
申し訳ないと思えば、申し訳ない。
ひとは、色んなところで単独で生きていけるものではなく、
ありとあらゆる関係の中で、それぞれに折り合いをつけて、
前に、進んでいくしかない、存在である事を、再認識した。
再認識といえば、私のお袋は、何とえらい人であるかを、
昨日は、再認識させてもらった。
気付いていても気付かぬ振り、
知っていても、知らぬ振り。
2010.04.27 Tuesday
今回買った道具
メーカーのホームページからの画像。
結構、散布する機会が多くなってきた時、
末吉君のブログを見ていると、
多孔式のノズルで散布している写真があった。
『これ、いいなあ』と思い、いつもの『100%農家! くぢら』
の矢ノ目君に、電話で聞いてみた。
推薦してくれたのが、
この製品。
道具自体は、メチャ軽になっている。
ところが、動噴からのホースを、
今までのシングルノズルでは、
空いている片手で持っていたが、
これは、空いている手が無い。
何とか、右手で、ノズルの取っ手とホースを持った。
それで、ホースを引っ張りながら進む。
これが結構大変だった。
後ろ髪ひかれる、どころではなかった。
ところが、やってるうちに、
頭を使わなくても、
身体が勝手に工夫して、
いつのまにか、
右手に取っ手とホースを握り、
後から付いてくるホースを左の腰に掛けていた。
これで、楽になった。
二枚とも、長さが70m位ある畑なので、
行きは、けっこう息が長い勝負をしている。
所要時間が半分以下で済むようになった。
動噴の圧力を、単位は分らないが、
【3】でしていたが、
次回から、
もう少し上げてみるか。
ところで、
日曜のルー・リードのビデオに、
矢ノ目君がコメントをくれていた。
矢ノ目君は、音楽のプロだったので、
コメントをくれていると嬉しい。
で、そのブログで、
ポールスミスのブランドについて、
あまり、いい事を書けなかったので、
もう少し、説明しておくと、
私にとっては、ロッド・スチュアートと、
イメージがダブってしまうのである。
どうも、安酒場で、ウイスキーの瓶を片手に酔っ払っている。
同じ様に酒瓶を持っていても、ジョン・ウェインは、
瓶の胴体を持って、カウンターに肘をついて、
かっこよくラッパ飲みをしているが、
ロッド・スチュアートは、
瓶の口を握って、
酒場前の、
道路をフラついている。
私は、動噴のホースに引っ張られて、
畑で、フラついているから、似たようなものかな。
さあ、今から、始発に乗って、
末吉君とこに行ってくるか。
2010.04.26 Monday
冷凍製品
事務所に冷凍庫を設置した。
この冷凍庫、新品です。
1万と8千円だった。
何と、64%OFF。
ずうと、冷凍製品の再開発をやろうと思っていたが、
会社には、もう、冷凍庫が無くて、
家庭用の10L程度の、
冷凍室で、
どうしようもなかった。
それで、冷凍庫を買おうと思っていたが、
上の階には、ビルオーナーの尾崎さんが住んでいるので、
騒音が気になって、買う事を躊躇っていた。
先日、遅くなって、尾崎さんが事務所を覗いてくれたので、
その時に、『小さな冷凍庫をおきたいのですが‥』と、
恐る恐る聞くと、
『いいよ、けっこう、きっちりした作りにしてあるから』
『ほとんど、騒音は互いに聞こえないはずだから』
と言ってくれた。
この会社の始まりは、冷凍製品から始めたが、
マンションの一階事務所で、1.5坪の冷凍庫を入れたら、
奥の部屋の若夫婦から騒音クレームが出て、
えらい苦労をした事がある。
あれに、懲りていたので、二の足を踏んでいたが、
この100Lの冷凍庫のスイッチを入れてびっくりした。
スイッチが入っていないのではないかと思うくらい、
ほとんど、振動も騒音もしない。
こんな冷凍庫が1万8千円って、世の中どうなってるんだ、
と複雑な気持ちになったし、
音も振動も無い冷凍庫にも、
ひとは、じっとしていないもんだと驚いた。
何はともあれ、
これで、ひと月滞っていた、
企画を進められる。
ありがたい。
2010.04.25 Sunday
日曜の朝
極早生玉葱【濱の宝】の収穫がスタートした。
とりあえず、倒れている玉だけを収穫して、
葉と根を切り取って、10kgに合わせて、
コンテナに入れ、明日、風と陽に当てて、
箱詰めして、摂津に送って、
中川に見てもらおう。
自慢じゃないけど、
やっぱり自慢かな、
美味い玉葱に仕上がった。
今日、収穫分で150kg。
中川には『1トン』って言ってたけど、
B品の自家用を除いて、1.5トンほどあるかな。
花柄のプリントシャツが好きで、
探しているけど、
最近は、流行じゃないらしく、
何処にも売っていない。
一時、【ポールスミス】ってブランドが、
盛んに出していたけど、
どうも、あのブランドは、好きになれないので、
何処が好きになれないか考えたら、
知性のかけらも感じられないかららしい。
知性なんて、生きていくうえで邪魔になるだけだが、
そんな邪魔なものでも、無いと、亦寂しい。
2010.04.24 Saturday
カタラーナ企画
京都に所要で行く事になり、
ランチを『あるとれたんと』で食べた。
左上の画像が、2階で喫煙できるようになっている。
最近は、何処に行っても、禁煙で、
其れは其れでいいのだが、
やっぱり煙草は吸えた方がいい。
いつまでも煙草を吸っている自分が、
馬鹿みたいに思える時もあるが、
別段、やめようと思う事も無い。
ただ、吸い過ぎると、
やっぱり、翌朝頭痛がする。
これがあるから、吸っている時に、
ふと、また頭が痛くなるのに馬鹿だと思うのである。
久し振りに行ったが、
見覚えのある子は、一人しかいなかった。
前菜は、いつも通りの味で、
ピザは、少し変り種だった。
パスタは、タイの焼きソバみたいだった。
コーヒーは、カプチーノだが、
甘かったので、今度からは、砂糖無しにする。
ところで、【カタラーナ】を出してくれなかった。
ランチタイムも終わりかけに入ったので、
みんな、ひと勝負終わった気分だったのか、
ダレた雰囲気で、食べるのに1時間半も、時間が掛かった。
さあ、そんな事はいいけど、
カタラーナの企画も、大詰めを迎えている。
所要とは、
来月一日に、
姫路のヤマダストアーさんが、
この農場に視察に来てくれるらしい。
その、迎える準備の買い物に出掛けた。
専務と青果のバイヤーと、リニューアル店舗の、
青果のパートさん二名。
前回リニューアル店の時は、
やはり、専務が青果のパートさん二名を連れて、
高槻の会社に来てくれた。
『青果はアルファーの野菜を中心に展開する』
との事で、いっぱい中川が事務所に野菜を陳列していた。
おかげさんで、リニューアル後、
客数も売上も、調子がいいと聞いた。
勿野論吉で、自分の事のように嬉しい。
前回は、閉店するか、どうかの際で、
専務が、思うようにやってみようとの事だったらしいが、
今回は、私の知る限りでは、一番売れ筋の店舗になる。
同じ様な展開を考えておられると思うが、
好調の要因は、うちの野菜にあるのではなく、
パートさんが、現地まで足を運んで、
自ら、『売る気』になってくれているところだろう。
それゃそうだろう。
買い物は、楽しくなければ、
料理してても、楽しくなかろう。
楽しく買えれば、料理もまた楽しく、
食べるときも、また楽しい。
だから、また買いに来てくれる。
それには、楽しく売る事が大事になってくる。
値段ばかり気にして、客の顔色伺いながら、
美味しいとも思っていない食品を売ってては、
何、楽しかろうと思ってしまう。
おかげさんで、この国では、誰も餓えていない。
餓えている人は、スーパーに買い物に来ない。
お金を使いたくない気分、のように思っている。
その気分に店が合わしていれば、
客はいつまで経っても、更に安いものを求める。
だって、それしか店に無いのだから。
安いケーキ屋さんに、ひとは並んでいるだろうか。
美味しい、結果高い、ケーキ屋さんにひとは並んでいる。
答えは、ひとつしかない。
美味しいケーキを、『美味しいねぇ』と、楽しく食べているからだ。
その店は、美味しいケーキを売っていると自信を持つ店員と、
客の、私は、その美味しさを理解しているとの気分が、
暗黙の会話として、【つながり】を生み出している。
何も、美味しいだけが、楽しみではない。
美味しい野菜を自分は作っていると、
そう思ってか、どうでもいい事を意地になって、
面白くも無い事を、言い放っている農家もいる。
何が楽しいのだろう。
そんな風に思って、
楽しく商売をしようとしているが、
伝わらないという事は、足りないという事だろう。
もっと、楽しんで、やろう。
一本、1950円、
6人分くらいのボリュウム。
何処に出しても、恥ずかしくない味に出来上がっているし、
何より、係わっている人、みんなが楽しんで、
わいわい企画している。
この二年ほど、追い掛けてきた商品が、
『無塩せきハムシリーズ』と『カタラーナ』、
そのふたつが、揃いそうだ。
2010.04.23 Friday
驕り
【驕る平家は久しからず】って、変換に出てきた。
まったく、その通りだ。
お陰で、船に寸手のところで乗り遅れた。
港に着くと、5mばかし、船は岸壁を離れていた。
いつもの、案内係りの人は、気の毒そうな顔してくれたが、
もう船は、私達の為だけには、引き返してくれない。
あたりまえだ。
今まで、寸手のところで、間に合ってばかりだから、
こういう事でもないと、帳尻が合わない。
1時間半の空白が出来たから、
時々、待合に使っている喫茶店まで戻った。
お陰で、パソコンで、ふたつ仕事が、
電話で、ひとつ仕事ができた。
もう一仕事、
ジャガイモの防虫対策に、
私でも使える節減対象外農薬を、
中澤が出してくれたリストから探す事にしよう。
28日が満月だから、30日か1日は、
ちょうど連休で、島に居られるから、ぴったり。
連休前に買っておこう。
そういえば、矢ノ目君が、
動噴の3mほどもある散布のノズルを、
探してくれて、それも今週末くらいに届きそう。
短い竿で、一株ずつ散布すると、
ひとつひとつの顔が見えて、
いいのだが、
行ったり来たりも時間の無駄だから。
2010.04.21 Wednesday
男爵 初期管理
どちらの畑も男爵で、軽トラで5分の距離。
直ぐに農免道路が繫がっているので、
トラクターで移動する時もある。
左の畑が、岡本保さんので、
右が、冬に配水管を破裂させた、
藤本一弥さんの畑。
先日、保さんに聞けば、
『うちの婆さんが、あそこの家から来ている』らしい。
保さんとは、下のURLで姿が分る。
http://naruhodona.jugem.jp/?eid=163
『藤本さんの方が確か、一日遅い筈なのに』
『何故、向こうの方が大きいんだ』
≪えっ、よう見てるなあ≫と、心の中で呟いたが、
少し、インカのめざめが植わっているので、
『早生品種を植えているので、其れでと思います』と応えた。
『ああ、そうか、品種が違うのか』
と、自分を納得させている風でもあったが、
実際、藤本さんの畑に来てみると、
同じ男爵も、こちらの畑の方が、
大きくて揃っていた。
歳末のお礼に、無塩せきハムを持って行った時にも、
藤本さん畑の隣の、安司さん畑の【濱の宝】を見たらしく、
『あれは、何を植えてんだ』とショックな事を言われた。
確かに、その玉葱は、もう収穫を迎えているが、
小振りな玉が多い。
初めての品種だから、実は分らないが、
本当に、よく見ているなあと思う。
間違っていなければ、計算上90歳近い筈だ。
自身は、早出しのスモモと菊で、緻密な作業振りから、
この人なら、一儲けしただろうなあ、と勝手に想像している。
その自信が、他所(よそ)の畑が、成長が早いと、
面白くないのかなと思うと、何やら可笑しくなってきた。
可愛らしいお爺さんってのが、お会いした時の第一印象だが、
この負けず嫌いにも、何だか好感が持てる。
ひとの好悪ってのは、実に面白い。
そうして、藤本さんの畑の作業が終わって、引き上げようとしていたら、
一弥さんの奥さんが通りかかって、
『あんた、玉葱大丈夫やったかあ』って。
その前々日、夕暮れになって役場から電話があり、
『吉田さんとこの玉葱の畑を、カラスが悪戯している』と連絡をくれた。
暗くなるまでには、もう小一時間あるから、走って見に来た。
この畑は、島の真ん中に位置し、私の家は、東の端。
30分程はかかる。
その家の周辺は、今、カラスの襲来を受けている。
カラスも貪欲になる季節なのかな。
だらだらなってきたが、
『マルチを少しめくられた程度で大丈夫でした』と応えた。
この島では、愛想を振りまいているので、
そうでもないか、結構悪態もついているが、
良くしてくれる人が増えてきて、何にしろありがたい。
にんにくの芯留(しんどめ)に行ってた佳代子が、ここに戻ってきて、
『入れ替わり近所のおっさん、爺さんが声を掛けてきて』
『そのたんびに、分らん説明をしなあかん』て、
初めての作業に疲れた様子であって、
それでも、私自身は、
調子良く、伸び始めた男爵・インカを見て、
心ウキウキしていた。
ひとつだけ、
違う肥料が入っている。