つた
身体がなまっていて、大して今回は綺麗にできないが、この樹に絡まる蔦だけは取ってやりたいと思う。
そういえば、この土地に来て一番最初に始めたことは、木々にまとわりっているこの蔦を外してやることだった。
綺麗なところなのに、僅か2年でここまでになるとは思っていなかった。
もっとも、ここから先は、そう劇的な変化をする事はないと思うが、それらが地に足をつけることは間違いなく、
ちょっとやそっとではダメで、周囲2町歩余をすっかりきれいにするのに、週4日通って2年掛かった記憶がある。
せっかく作った下の道具小屋も、草に埋もれ、樹に囲われ始めている。
先ずする事は、草刈機で掃除することだが、ワイヤーの草刈機はあるが、刃のつけてある草刈機が無くなっていた。
だれか、海に降りてくる人が、自分の車を止めるスペースを確保する為に、使って持ち歩いているのかも知れない。
ひどい話しだが、まあ、2年も留守にしてれば、世間はそんなものかもしれない。
さすがに3台あるチェーンソーは、無事にいる。
とりあえず、午後から一番小さなハンディタイプのチェーンソーを動かして、生えてきているウバメガシを伐るか。
新たな兵器
昨日、朝3時に起きて、5時前に高槻の家を出て、
気温が氷点下だったから、いつもの山陽自動車道が凍っていそうで、
海沿いの神戸を通るルートを、のんびり運転して姫路港まで走り、そこから慣れ親しんだフェリーに乗った。
想像通り、公道から私道に移り、我が敷地まで来ると両脇に草が生い茂り、車はサイドをキューキュー言わせながら、
結局、駐車場まで辿り着けなかった。
家の玄関までのアプローチは、石畳の隙間から我が背丈以上に伸びた草と、
脇の立派な梅の木が、何本も枝を張り出させていて、かいくぐりながらようやく玄関の引き戸まで到着した。
山の中の家を 2 年間留守にしていたので、どんな様子かと思ったが、
想像以上に、荒れていて、思わず靴のまま上がろうかと思ったほどだった。
二人で、黙々と掃除に取り掛かり、雑巾で拭く段になると水が出ない。
確か、督促の連絡があり料金は支払っているはずだが、仕方がないので元栓のところまでいくと、
元栓のボックスが、土で埋まっていた。
水は出るようになったが、もしかしてガスは?と思うと案の定。
仕方がないので、ボンベを見に行くと、裏の山から猪が土を落としていて、
半分埋まっていて、厄介なことになっていた。
ガス屋さんが来てくれたが、『 長く使っていないと管がゴム製なので空気が入るのです 』 と説明してくれた。
これで、ようやくここでのとりあえずの日常は取り戻せそうで、
後は、布団を干し、その間に、床と畳の拭き掃除。
それから夜を迎えるのに、薪ストーブの煙突掃除と、風呂の心配だけ。
ここで、5日間過ごすので、その間の食料の調達を寒くなる前に街まで走った。
戻ってきて、私道の脇の掃除を、車が傷つかない程度に、しなければ。
駐車場のアプローチ脇の柊も枝を張り出しているので、これにのこぎりを持ち出してきた。
ひとしきり1時間程掛かったが、なんとか駐車場の手前までは、車を納められた。
煙突掃除をして、彼女は台所周りをきれいにして、ここでダウンしそうになった。
遅い、昼寝をしようかと思ったが、ここで寝てしまったら、時差のある外国に行ったときと同じになるので、
どうしようかとビデオを観ていると、やはり寒気に包まれ始めて、これはまずいと思い、
薪ストーブに火を入れた。
退屈し始めて、早い目の晩御飯を食べることにして、
昼と同じ、ような、パスタと、半額になっていたキタアカリで、ポテトサラダ。
その間に、最後の難関の風呂の用意をする決心をし、湯船から、床から、壁、棚、すべて汚れを洗い流した。
もう、できることはここまでで、後は、寝るだけ。
やおら、この新しい兵器を購入して持ってきていたのを思い出して、乗せてみると、
思った以上に、よくまわり、ストーブの上の暖気が流れてくる。
動力源は、熱を感知して発電し、その電気エネルギーでモーターを回すという代物。
薪ストーブの上下の温度差で電子を作り出す『 ゼーベック効果 』 と呼ばれる原理を利用した発電モジュールらしい。
今朝は、気持ちよく目覚め、8時間ほど途中でおきることも無く、よく眠った。